2010年賀・テスカトリポカ神


「2010年は寅年→トラ→黄色と黒の縞模様→テスカトリポカ」という連想により、題材は決定されました。
テスカトリポカはジャガーじゃないのかとも思いましたが、ジャガーのことを虎と訳している資料もあるしまぁいいや、とかなんとか適当なノリでやってしまいました。
今回テスカトリポカのコスチュームを変更してみました。前のもデザインとしては好きだけど、しかし時代考証とかいい加減にも程があるだろうという気がしてきて……といいつつ、これにも妙なアレンジが混入しまくってます。本当はこんなにシャツ短くねぇよ、とか。アレンジせんと描けんのか私は……。しかも、せっかくボルジアグループの絵文書に描かれた神々の図像を比較・分析する本を持っているというのに、あえて参照しなかったというもったいないことになっております。いえ、テスカトリポカの姿で最も有名なのは『ボルジア絵文書』のバージョンだと思われるし、アレンジバージョンもそれに基づいたものが多そうなので、違う感じにしてみたかったんです。左腕のところにテクパトルがいるのは、『プリメーロス=メモリアーレス』内のテスカトリポカの装束の中に「テクパトル(火打石のナイフ)のある腕輪」があったのでそれを取り入れたからです。へそピアスはドゥランの『ヌエバ=エスパーニャ誌』で紹介されていたテノチティトランの神殿にあったテスカトリポカ像の説明からヒントを得ました。額の上に飛び散っているものは、血飛沫と翡翠の珠。「エスピツァル(血の噴出)」と呼ばれるもので、テスカトリポカの象徴の1つです(『プリメーロス=メモリアーレス』だとウィツィロポチトリやその使者パイナルの特徴になってましたが……)。『ボルボニクス絵文書』『バチカンA絵文書』『テレリアーノ-レメンシス絵文書』あたりがエスピツァルの表現を確認しやすいと思います。実は旧バージョンのコスチュームの冠もエスピツァルをアレンジしてデザインされてました。『ツデラ絵文書』の絵を参考に描いたんだったっけ。
テスカトリポカが右手に持っているのは鏡餅です。煙を吐く鏡餅。餅の上に横たわっているのは、たぶん心臓……そのものズバリな描写はさすがにやめとこうこの場合と思い、絵文書における表現を取り入れようとして意味不明なことに。
背景の文字はアステカの公用語のナワトル語です。カタカナで書くと「イニク セ メツトリ トナルポワルキシュティアニ マクイルツォントリ ワン マトラクトリ」「クアリ ヤンクイク シウィトル」とでもなるでしょうか。日本語訳は「グレゴリオ暦2010年1月」「新年おめでとう」ぐらいな感じで。まぁ私はナワトル語なんてできませんので適当ですけど。

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