犠牲者


 なにしろこの事件は未解決でして、犯人の正体はもとより犠牲者の正確な数すら定かではないのですが。切り裂きジャックに殺されたのは以下に挙げる5人というのが定説とされています。
事件発生順 犠牲者名(年齢) 発見日 発見場所
1 メアリ・アン・ニコルズ(42) 1888.08.31. バックス・ロウ
2 アニー・チャップマン(47) 1888.09.08. ハンバリー・ストリート29番地
3 エリザベス・ストライド(44) 1888.09.30. バーナー・ストリート40番地
4 キャサリン・エドウズ(46) 1888.09.30. マイター・スクエア
5 メアリ・ジェイン・ケリー(25) 1888.11.09. ドーセット・ストリート26番地
ミラーズ・コート13号
 『ロンドンの恐怖』によれば、これが定説となったのは研究書『恐怖の秋』(Cullen,Tom/Autumn of Terror : Jack the Ripper, His Crimes and Times/1965)からだそうです。
 なお、この5人に1888年8月6日にジョージ・ヤード・ビルディングで殺されたマーサ・タブラム(35)を加えて6人の犠牲者とする説もしばしば見られます。しかし、マーサは他の犠牲者とは違って切り殺されたというより刺し殺されていること、腹部の切開が行なわれていないことなどから、別人による犯行というのが定説になっています(エリザベス・ストライドは喉を切られただけですが、これは殺害した直後に人が近づいてきたためそれ以上の行為に及ぶ余裕がなかったからだと思われます。その欲求不満を埋めるため、その夜のうちにもう1人犠牲にせずにいられなかったのでしょう)。
 また、定説における最後の犠牲者メアリ・ジェイン・ケリーですが、彼女だけ他の犠牲者よりも若いこと、室内で殺されていることなどを根拠に、犯人はジャックではないとする見方もあります。

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