当サイトでは主にアステカ神話の「定説」の検証などを行っていますが、そういうのとは別に、「創作物の素材としてのアステカ神話について知りたい」という需要が世間にはあるようですね。なので、そういう目的で読むのに向いた本をこのページで紹介します。以下に挙げる本とウィキペディアのアステカ神話関連項目を参照すれば、創作物の元ネタはかなりカバーできるでしょう。
なお、このページ以外の私のサイトやツイートの内容は「定説」を批判・否定するような内容が多いので、既存の説に基づいて作られた創作物の考察には使えません。使わないでください。
これら2冊は実質的には同じ本ですが、神話が物語形式で紹介されており、文体は古めかしいものの読みやすさでは随一です。アステカ神話の収録話数は『メキシコの神話伝説』の方が多いです。
ショロトルが仲のいい神々の死を悲しんで泣き過ぎたために眼球が流れ出てしまった話や、恋を叶えるためにテスカトリポカに戦いを挑む若者の話や、ケツァルコアトルが人間に火を与えた話や、テスカトリポカが蜘蛛に化けてケツァルコアトルに酒を飲ませた話など、有名な話が載っています。
神秘的で詩的なイメージが美しい。古代メソアメリカの宗教、特に「羽をもつ蛇」への信仰に秘められた高い精神性に思いをめぐらせる本です。主に金星であり太陽である偉大な善神ケツァルコアトルについて独自の解釈で語っているこの本は、日本のみならず海外でも長年に渡り読み継がれています。
『Truth In Fantasy』シリーズの1冊。読みやすい入門書です。神々や神話の紹介、各月に行われた祭祀の解説などが簡潔にまとめられています。また、著者は遺跡ルポの著作がある人だからか、歴史や文化に関する記述も多く参考になります。
ライト層向けの本には珍しく「ケツァルコアトルは白い肌に黒い髭という姿で1の葦の年に帰ってくると予言したという話は征服後に作られたもの」という説を紹介しているなど、なるべく正確を期そうとしていて好感が持てます。
付言すると、この本を含む『Truth In Fantasy』シリーズはいずれも平易な解説でイラストも多く、また多くの書店や図書館に置かれていることが多いため、資料として重宝されます。
『Truth In Fantasy 事典シリーズ』の1冊。ヨーロッパ大陸の他アフリカ、南北アメリカ、さらにはクトゥルフ神話や指輪物語などの創作神話の神々を、イラスト付きで簡潔に解説しています。
『Fantasy World』シリーズの1冊。世界各地の神話、伝説、ファンタジー作品に登場するドラゴンを、著者の想像力を活かして紹介しています。アステカ・マヤのドラゴン的な神々も収録され、特に心優しい全能の神ケツァルコアトルと野蛮な戦いの神テスカトリポカとの対立の話は著者ならではの解釈で語られていて興味深いです。
アステカ・マヤの神話に関する研究史・概説がコンパクトにまとまっています。特に、『絵によるメキシコ人の歴史』『太陽の伝説』『メキシコの歴史』から再話した、過去の4つの太陽(時代)の創造と滅亡や、現在の人類とその糧や第5の太陽の創造に関する話が分かりやすいです。
古代メソアメリカの神々や宗教に関する用語について詳しく解説されています。詳細かつ手堅い説明が多く、国内外の研究者にもよく参考文献として用いられています。
北米・メソアメリカ・南米の3部構成で、項目も多くフルカラーの図版も綺麗で見やすいです。神々の名前や用語の解説の他に、コラムもあり理解しやすくなっています。
神々の家族関係などはこの本が参考にされることが多いように見受けられます。
世界各地の神話を図版入りで紹介している本で、色々な神話を一通り知るのに便利な本です。アステカ神話以外の神のことも調べたいときなど、役に立ちます。